自転車にはメンテナンスが必要です。
競技やツーリングなどで酷使する場合は、適切なメンテナンスをすることで自転車のパフォーマンスをアップし、快適性も耐久性もずいぶん変わってきますし、普段の街乗りや通勤に使うバイクでも同じこと。
主に屋外で使用する、消耗部品の集合体である自転車に関しては「メンテナンスフリー」というものは存在しません。
メンテナンスといっても、日々の定期的なちょっとしたことから大掛かりなものまでさまざま。
この記事では、その中でも大掛かりなオーバーホールと呼ばれるメンテナンスについて説明させていただきます。

自転車を一旦バラして整備するのがオーバーホール。
2〜3年に一度、オーバーホールするのが一般的ですが、自転車の使い方も人それぞれ。
競技、トレーニング、ロングライドなどで頻繁に乗る方や、雨の中でも走る場合は毎年お持ち込みいただく方もいらっしゃいます。
今回は2年前に組ませていただいたバイクの初めてのオーバーホールのご依頼をいただきました。
オーナーさまの了承を得て写真を撮らせてもらいましたので、オーバーホールの作業内容を簡単にご紹介させていただきますね。

まずは自転車をお預かり

まずは当然ですが、自転車をお持ち込みいただきます。
whooはワンマンショップでできる作業量も限られていますので、オーバーホールは予約制になっております。
タイミングにもよりますが、最短で 3~4日から1週間ほどのお預かりでオーバーホールが可能です。
自転車のお預かり時に、現在の不調な点や気になっていること(異音等)、交換したいパーツなどをお聞きします。

まな板の上のケルビム

まずはバラし

まずは自転車をバラしていきます。
ただバラすだけでなく
ガタついているところはないか?
緩んでるところはないか?
変形しているところはないか?
消耗しているところは?

などをチェックしながらのバラし作業。
ここで交換すべき消耗パーツなどを探します。
この時点でパーツの不具合が見つかることって結構よくあること。
以前、壊れかけてたパーツを外す時にバラバラに砕け散って、僕がトドメ刺したみたいになってむちゃくちゃアセった経験があります(笑

シフトケーブルはこんな状態なので交換しちゃいましょう

ブレーキ、シフトのケーブル類の状態やタイヤの摩耗、チェーンの伸び具合などもチェック。
今回は、チェーンも少し前に交換したところでまだ十分使えるので洗浄のみ。
伸びたチェーンを使い続けるとスプロケットやチェーンリングとのピッチが合わなくなり、ギアの歯の異常磨耗にも繋がるので、この辺のチェックは重要です。

ひとまずここまで

どこまでバラバラにするかはその時次第。
できればフォークやハンドルも気持ちよく外しちゃいたいところなのですが、最近はブレーキのオイルライン(ホース)がフレームやフォークに内蔵されているものが多く、そうもいかないケースも多くなってきました。
ヘッド周りなどを弄る際には、少し頭を使って順序立てて作業する必要があります。

取り外したパーツたち

パーツ洗浄

続いて、フレームや外したパーツを洗浄します。
適材適所のケミカルを使い、綺麗に洗っていきます。
もちろんこの時も、パーツが壊れてないか、傷んでないか、しっかりチェック。

うーん、だいぶ汚れてますね。
洗いがいがありますな。

ばっちりキレイになりました。
洗った後は注油も忘れずに。

ベアリングもしっかりと

回転部分のメンテナンスも重要です。
さっきバラしにくいと言っていたヘッドも、ちょっと工夫してオープン。
フォークを抜いてヘッドセットにアクセス。

ヘッドベアリングもキレイにね

クリスキングはいいよなー。
メンテナンスが楽しいパーツです。

もちろんハブのベアリングも

しっかりと洗浄してグリスを適量補充します。
いいパーツはしっかりメンテして長く使いましょうね!

油圧ディスクならではの

今回はオプションで、ブレーキフルードの入れ替えもさせてもらいました。
比較的長持ちするSHIMANOのミネラルオイルですが、
「安全に関わる部分だし、交換しておいて!」
というオーナー様のご要望での作業です。

組みます

さて、すべてのパーツがキレイになりました。
次は再び組み上げますよ。

キレイになったパーツの組み付けはとてもいい気持ち

バラす時、洗う時もそうでしたが、組み付ける時も部品のチェックは怠らず。
洗浄済みのパーツをポンポンと組み付けていくこの作業は、オーバーホールの中で一番気持ちいい、爽快なひとときですね。
オイルやグリスなど、その場所に必要なケミカルを使ってしっかりと。

ブレーキ周りもキレイで気持ちいいなー

仕上げ

すべてのパーツを組み付けて調整したら、最後の儀式。

バーテープ巻き巻き!

僕の場合、バーテープはなるべく最後に巻きます。
なんでだろ?
長年の習慣みたいな?
バーテープを巻くと、見た目にも「できた!」という感じがして好きなんです。

そして完成!

さあ、完成です。

写真じゃちょっとわかりにくいかな?
ピカピカに仕上がりました。
外見はもちろんですが、写真では見えない内部までしっかりとお掃除、グリスアップがされているので、また安心して気持ちよくお乗りいただけますよ!

オーバーホール受け付け中!

さて、オーバーホールとは何なのか、なぜ必要なのか、おわかりいただけたと思います。
今回ご紹介したケースは自転車全体のオーバーホールでしたが、「ハブだけ」とか「駆動系パーツだけ」などの部分的な作業ももちろんできます。
コストはケースバイケースで一概に言いにくい部分ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
長いこと放置状態だった自転車を引っ張り出して久しぶりに乗るという場合にも、オーバーホールすることをおすすめします。