ひとり旅
「久しぶりに旅行に行きたいな」
きっかけはそんな軽い気持ち。
どうせなら自転車で行こうか。
っていうか、自転車と一緒に旅行に行こうか。

そんなことで、水曜と木曜の休業日を使って自転車と一緒に旅してきました。
むっちゃ頑張ってシャカリキに漕ぐわけでもなく、自転車担いで冒険するわけでもなく、サイクリングと公共交通機関を絡めて楽しい旅ができたらいいな、と。
で、僕のお得意の「Googleマップで妄想タイム」に入るわけです。
使えるのは水曜と木曜の2日間だけ。
普段の京都でのライドでは走れない道を走り、見られない景色を見て、食べられないものを食べたいな。
そんな中で浮かんだ一つのコース。
おう!これは楽しそうだ!

ルート決めは重要
2日間を有効に使うために、スタート地点を動かすことにする。
朝に京都をスタートするとなると、どうしてもいつものライドと同じようになっちゃうんですよね。
で、考えた秘策。
前日の店の営業終了後に輪行で任意の場所に移動。
そこでホテルに宿泊し、翌朝スタート。
というもの。
2泊2日?の旅プラン。
おれ、天才じゃね?
さて、僕がライドのスタート地点に選んだのは、兵庫県の赤穂市です。
なぜ赤穂市??
まず、駅前に東横インがあったこと(笑
ホテルが近いのはいいことです。
でももちろんそれだけで決定したわけではありません。
Googleマップを睨みつけながら、赤穂駅前からスタートするライドをイメージしてみたところ、それはそれは楽しいに違いないコースが頭の中に浮かんできたんです。
播州赤穂
ぼくはライドで通過したことはあるものの、スポットを当てるのは初めての場所。
正直よく知らないところです。
持ち物・装備
僕の自転車旅の装備も一応書いておきますね。
これから自転車旅を始める方に参考になれば幸いです。
今回はあえて、リムブレーキのロードバイクでいくことに。
理由はいくつかありますが、
・輪行のパッキングがしやすい。(今回のプランでは何度も輪行します)
・車体が軽いので輪行時に持ち運びやすい。
・乗り心地がしなやかなので身持ち良く走れそう。
といった感じでしょうか。
ただ、タイヤ幅は30cが限界だし、ホイールはスポーク数の極端に少ないRolf Primaだし、荷物の量(重さ)には気をつけなければいけません。
もう少し季節が進んで、秋冬ウェアや防寒装備も必要だったらこのバイクでは厳しかったんじゃないかな?
今回は運良く夏の陽気の予報だったため、防寒関連の装備は全て切り捨てて荷物を最小限に抑えました。

Rolf Prima Vigor Alpha ステルスを履かせた CHERUBIMのリムブレーキロード。
バッグは、小さめのハンドルバーバッグ、フレームバッグ、トップチューブバッグ、そしてリクセンカウルのシートポストバッグ。
このシートポストバッグは簡単に外せるので、輪行時には取り外して手荷物として持って行けてとても便利。
その他のバッグは輪行時もつけたままです。
ダウンチューブのボトルには水。
シートチューブの保温ボトルにはあったかいコーヒー。
保温性が高いので、朝コンビニで買って入れたコーヒーが午後でもあったかいまま。
ちなみにこのバイク、15年以上前のカンパニョーロのパーツで組まれていて、今の僕の脚では上り坂がきつかったんです。
そこでこの旅の前に、自分の部品箱に転がってたパーツを中心に鬼カスタムを施しました。
おかげでリアのローギアが27Tから32Tへジャンプアップ!(フロントは50-34T楕円)
今回のコースを快適に走れたのもこのカスタムのおかげかもしれませんね。
Day-0 スタート地点へ前乗りで前夜祭
前置きが長くなりすぎました。
それでは旅のスタートです。
先に言いますが、むっちゃ長いポストです。
興味のある方だけお読みくださいね!

京都駅で輪行。リーガロ⚪︎ヤルの送迎バスの色、僕のバイクとお揃いね!
閉店後に自転車で京都駅まで行き、八条口で輪行パッキング。
夕方のラッシュの中、輪行バッグを持って新快速に乗るのも憚られ、ちょいと贅沢して新幹線で姫路まで。
そこから在来線で播州赤穂に入ります。

駅直結の播州赤穂の東横イン。
サクッとチェックインして、バイクはバッグに詰めたまま客室へ。
シャワーを浴びたら夜の街へ。
晩ごはんですよ!

駅近のいい感じの居酒屋さん。
鳥、豚、魚で明日のためにプロテインを摂取。
これ、どれもこれもむっちゃおいしかった!
すぐに食べちゃったので写真には写っていませんが突き出しもおいしかったし、お店選び大成功ですね。
「唐揚げは一人で食べるには量が多いから」
と、数を減らしてくれるサービスも嬉しいですね。
板前さんとも少し会話でき、前夜祭?は楽しく終了。
ホテルに戻り、早めの就寝。
Day-1 美しい海、美しい森
今回の旅ライドではのんびり走っても無理なく完走できるよう、一日の走行距離はだいたい100kmまでに抑えようと決めていました。
漕ぐことに夢中になりすぎて美しい景色を見逃したくないし、気になる場所、気に入ったところではすぐに停止して休憩したり写真を撮ったりしたいしね。
大事なのは走った距離や速度よりも道中での経験。
そんなスタンス。
見れるかなー、見れないかなー。
天気予報を確認し、まだ暗いうちにチェックアウト。
駅前広場の街灯の下で自転車を輪行バッグから出して組み立てます。
ちょっと雲が多いなー。
OK、出発!

見れたー!
と言ってもいいのでしょうか?
雲の隙間から差し込む朝日が美しすぎる。
そう、見えるかなーって気にしてたのはコレなんですよー。

地元のねこさんも見に来てましたよ。
日の出は、この旅行のプロローグ。
さて旅が始まりますよ!

さあ行きましょう。
今日のコース、前半は基本的に海に沿って走ります。
海から遠く、あまりこういうところを走る機会の多くない僕にとって、海が見えるというのはそれだけでテンションが上がるものですね。
海岸沿いを西へ向かってゆっくりライド。
しばらく走ると不思議な一角。

古池塩田跡
写真ではちょいとわかりにくいのですが、コンクリで囲われたところは塩田の跡地。
事前の調査で見つけて、立ち寄ってみたい場所リストに入れていました。
有名な「赤穂の塩」を作っていた塩田ですが、稼働していないとはいえ現存するものを見ることのできる貴重な場所です。

これは塩田の取水口?
かなりの勢いで海水が流れ込んでいます。
赤穂地域は昔から塩作りが盛んで、弥生時代の製塩土器が発掘されているそうです。
江戸時代に入浜式塩田という製塩法が確立され、赤穂の塩は日本一と言われたそうですね。
塩田を囲うコンクリートの堤の上を自転車で走ることもできておもしろー!
こんな遺構が残ってるってのもおもしろー!
調べたところ、赤穂の塩は現在オーストラリアの塩田で作られているのだとか。
間違ってたらごめんなさい。
苦情は受け付けません。

トンビがいっぱいで少し怖かった。
塩田跡を出るとすぐに山越え。
県境の峠を超えて岡山県へ。
牡蠣で有名な日生です。

こちらも地図で見て気になっていた島に渡ってみることにしましたよ。

この鹿久居島ね。
橋で渡れるって聞いてたんだけど、遠くから見ると思ってたより大きな橋。
でかいなー。
でもま、行ってみましょう!

島に渡ると坂ばかりw
そして森と果樹園。
みかん、柿、いちじくなど、いろんな果物が育てられているのだそう。
果樹園からバァーン!とときどき発砲音のようのものが聞こえてたのは、とても多い野生の鹿を追い払うためなのでしょうか?
そして気づいた。
この島の先にもう一つくっつくように島があり、そこにも橋で渡れると。

この橋も渡ってみます。
その先の島は頭島。
ここは牡蠣の養殖が盛んだそうで、港では多くの人々が殻むき?などの作業をされていました。

この山積みの古銭をつないだみたいなやつ、ぜんぶ牡蠣の殻!
晴れて気温が上がってきた!
そして、海のそばだからか、道端にカニが多い。
京都の山間部で見かけるような黒くて小さくて動きの遅いサワガニみたいなんじゃなくて、赤くてすばしっこいやつ。
写真撮ろうと思っても速すぎて撮れん!
なんとか側溝に追い詰めて撮影に成功。

こんなことばかりしてるからなかなか進まないw
その後も海沿いの道をのんびり走る。
面白い風景があれば立ち止まり、保温ボトルに入れたコーヒーを飲んで休憩。
あ、これおすすめですよ。
コンビニの駐車場で車を見ながら飲むより、美しい風景を眺めながらの方が、同じコーヒーでも美味しくなるってもんで。
コンビニでコーヒー買ったらすぐ保温ボトルへ。
自転車で使いやすい保温ボトルはwhooにありますよー!

備前市まで走り、ここから海を離れ森へ。
ここもGoogleマップで見て走ってみたかった森。
その名も
「美しい森」
だってマップにそう書いてあるんだもん!

美しい森に入るでー!

うん、美しい。
写真だとアレですが、本当に美しい森でした。
結構登って汗だく。
下りがきもちいい〜!
と、そこに

ふもとが近づいてきたあたりで突然現れた建物。
戸は大きく開かれ、中で人の動く気配。
ん?
好奇心が止まらない。
戸も空いてるし、声をかけてみてもいいよね?
「すみません!」
中には男性が一人お仕事中。
あ、これテレビでみたことある。

お話しをお伺いすると、なんと日本刀の鍛冶屋さんだそう。
お仕事中にも関わらず、色々なお話を聞かせてもらいました。
後で調べたのですが、ここ長船は歴史的にみて日本刀の生産量が圧倒的一位なのだとか。
歴史的にも有名な刀も、その多くは長船で作られているのだそうです。
知らずに通って、知らずに声かけて、興味深いものを見させていただきました。
ありがとうございました!
(ブログ、SNSへの掲載許可はいただいています)

さらに下って長船のお蕎麦屋さん「う垣」さんでランチ。
ちょうどタイミングよく空いていましたが、僕が入った後で次々とお客さんが来られ、食べ終わって出る時には結構な数の人が並んでいました。
知らずに入った人気店。
お味の良さは言わずもがな。
むっちゃ満足、ごちそうさまでした。

お昼過ぎ、いよいよ気温が上がってきた頃に岡山市に突入。
市街地に入ると人も車も増え、一層の注意が必要。
なるべく安全でストレスの少なそうな道を選んで、岡山駅に到着!

ここ、岡山駅がひとまずの目的地。
ここで再び自転車を輪行バッグに詰め込んで、電車に乗り込みます。

乗るのは瀬戸大橋線。
目指すは四国!
瀬戸大橋を渡って坂出で乗り換え、丸亀で下車。

このボタン押してみたい!
丸亀駅が近づくとこの前を離れずガッチリキープ。
「開」ボタン初プッシュは四国にて達成です。

丸亀駅前で再び自転車を組み立てて再スタート。
四国でも相変わらず、目指すは海です。
しばし四国の海をぼーっと眺める。
その後は内陸に入り、今日のお宿のある善通寺方面へ。
大きな通りはなるべく避け、地域の生活の感じられる小さな道を辿ります。
この行程が楽しかったー。
僕の考える「四国っぽい」景色がたくさんあります。





あちこち回り道しながら今日の宿に到着。
むちゃくちゃ昭和を感じる、懐かしい感じのホテル、善通寺グランドホテルにチェックイン!

ふぅー、と癒されて、お風呂に入ってから歩いて晩ごはんへ出かけます。
昨日は和だったし、今日は町中華でも?

沁みるなー。
最高じゃないか?
で、しばし夜の散歩へ。
すると遠くから響くお囃子の音。
独特な、鐘と太鼓だけのお囃子。
何かイベント?と吸い寄せられるように近づいていくと、神社の境内と社殿で舞う二体の獅子舞が!
舞っている人、お囃子を奏でている人、それを見つめる数名の関係者っぽい人。
とても不思議な感じ。
他の通行人は、見えているはずなのに気にも止めずにスルーしていくのがまた不思議。
少し横を見上げればライトアップされた五重塔が。
うーん、異世界感。

しばらく見せてもらい、関係者の方に話をお聞きしたところ、この週末に執り行われる地元のお祭りの練習なのだとか。
「本番では他にもたくさんの獅子舞が同時に舞い、お囃子は音が混ざって自分のところの囃子もわからなくなるよ」
と教えてくれました。
ほんとおもしろい!
お囃子の音も大きく舞いも大迫力で他に観客もいないし、僕だけのために舞ってもらってるような錯覚。(そう、もちろん錯覚)
超贅沢!

ああ、今日は楽しかった。
明日も早いし、ホテルに帰って寝ましょうかね!
Day-2 うどんの町からアートの島へ
2日目も早起き。
昨日の疲れもなく、体調もバッチリだぜ。

今日もまた見たいもの、食べたいものがいっぱいです。
善通寺を出て、まずは南へ。
相変わらず大きな通りは避け、少し離れた小さな道を進む僕。
地元か!


こんぴらさん!
今回は金毘羅まいりと言うわけではなく、参道までおまいり(って言うのか?)し、こちらへ。

こんぴらうどん工場店で朝ごはん。
ここ、朝7時からオープンしてるんです。

温玉ぶっかけうどん(一玉)
コシがすごい!
出汁がおいしい!
一瞬で完食!
ごちそうさま!
びっくりマークだらけですみません、本当においしかったもんで。
さあ、朝食すんだら再スタート。

走ってて気になるのがこのキレイな円錐状の山。
「讃岐富士」って聞いたことはあったけど、あちこちにあるよ。
なんか多すぎじゃね?
と思いながら気持ちよく走行。
後で調べると、讃岐七富士っていって、こういう形の山が7つもあるそうですね。
滋賀県は近江富士だけ?
負けてるじゃん。

GoogleマップやRide With GPSを駆使して引いたコース。
車が多そうな道は避け、走りやすそうな道を選んでいますが、所詮はコンピュータでの仕事。
実際に走っていてもっと楽しそうな道があれば、躊躇なくルート変更しちゃいます。

道端に多くある石仏や小さなお寺、神社も大好物。
気になれば立ち止まり、手を合わせてしばし休憩させてもらいます。
そして少し小腹が空いてきたなー、ってところでこんな店発見。

池内うどん店
今日のブレックファスト(その2)のお時間です。
綾川町というところにある池内うどん店さん。
この店は全く調べておらず、前を通った時に多くの人で流行っていたため立ち止まってみました。
自転車も停めやすかったので、ここで今日2回目の朝食とすることに。
こちらはうどんとそばがあり、注文は「うどんかそばか」「何玉か」それだけ。
僕の前の常連さんは「そば2つ」って注文してましたが、出てきたのは1つだけ。
中に2玉入ってたってことですね。
僕はうどん1玉だけいただきました。
うどんとそばのミックスもできるそうですよー。

うどん(一玉)
おお、さっきとは全く違う。
うどんのコシも、出汁の風味も全然別。
こっちもまたおいしいなー。
民家の母屋と離れ?をうまいことつないでリノベした感じのおもしろい作りのお店。
女性スタッフが何人かで働いていますが皆さんフレンドリーでしたよ。
ごちそうさまでしたー。
川沿いのサイクリングロードをしばし走ってから左折すると、そこから始まるクライム区間。
高松空港への上り坂のスタートです。

上りはヘロヘロで写真もなしw
そこからは高松市街まで下り基調。
市街地に差し掛かったところで
うん?なんか小腹すいてこねえ?
おお、こんなところにうどん屋さん笑

うどん清水屋
この街、ほんとうどん屋さん多すぎw
うどんを食べるのを止める隙もないわ。

かけうどん(一玉)+ レンコン天ぷら
シンプルなかけうどん。
それに大好物のレンコンの天ぷらがあったのでトッピングしちゃいました。
もちろんここでも1玉ですが、今日食べた中ではここが一番ボリューミーでしたね。
こちらもおいしかった。
ごちそうさまでした。
7時半にうどん
9時にうどん
10時半にうどん
こんなの初めてだ。
さすがうどん県。
食べたくなります。


街なかに入ったら入ったで興味深いものがいっぱい。
香川県、おもしろいところですね!

そしておもむろにフェリーターミナル。
実は「船に乗りたい」っていうのも今回の旅の目的のひとつ。
船に乗ると旅気分がぐんっとアップしませんか?

さよなら四国、ありがとう香川
フェリーで高松を出た僕の行き先は?
こちらであります。

直島
瀬戸内国際芸術祭が開催中の直島に上陸です。
芸術祭真っ最中ということですがスタッフさんの話によると、この日はいつもに比べてだいぶ空いていたそうです。
とはいえ人気がありそうな美術館では長い行列ができており、中に入るのはなかなか難しそう。
ま、今回は時間もあれだし、自転車もあるし、美術館に入るつもりはなかったんですけどね。
島内をサイクリングしながら屋外展示物や風景などを楽しませてもらいましょう。




いやあ、楽しかった。
あとすこし、がんばってまいりましょう。

再びフェリーに乗船。
今度は本州、岡山県の宇野港へ向けて海の上を走ります。
直島から宇野港まで約20分。
すぐに到着です。
今回の旅では2回もフェリーに乗れて楽しかったー。
フェリーは自転車をばらさずそのまま積んでもらえるのがありがたいですね!
宇野港からは再びライド。
この旅最後のライドですよ!

児島湖畔で夕日。
ああ、旅が終わる・・・
そしてついに

岡 山 駅 に 到 着
そう、ライドの終点は岡山駅。
昨日の昼ぶりの岡山駅。
ここから輪行で京都まで。
新幹線でたった1時間で京都に着いちゃうんです。

車内で駅弁ディナー
ああ、本当に楽しかった。
わずか2日間の休日の出来事とは思えないほどいろんなことがありました。
旅行ってやっぱりええなー。
GARMINによると、結果的に2日間での走行距離は合計196km。
1日あたり100kmまで、という当初の予定どおりですね。
輪行やフェリーを絡めることで、これだけの走行距離でも十分満足の旅ができました。
今回初めて試した2泊2日の自転車旅はなかなか使えますね。
また近いうちに予定してみよう!
書きたいことが多すぎて、書く前から「長くなるだろうな」とは思っていましたが 予想の上をいく長い記事になってしまいました。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
↓ 最後に走行データを載せときますね!